便秘にお悩みの方へ|食事・水分・運動・便秘薬までわかりやすく解説

便秘を改善したいとき、「水をたくさん飲めばよい」「食物繊維を取ればよい」と考えていませんか?しかし、便秘には食事だけでなく、運動不足や生活リズム、排便習慣など複数の要因が関係しています。

そのため、一つの方法だけに頼らず、普段の生活を幅広く見直すことが大切です。

この記事では、便秘を改善する方法として、生活習慣・食事・運動・排便習慣について解説します。便秘が改善しない場合の便秘薬や受診の目安についても確認しましょう。

便秘が気になるときに|まず見直したい生活習慣

便秘が気になるときは、食べ物だけでなく毎日の生活リズムも振り返ってみましょう。起床・食事・就寝の時間を整え、排便する時間を確保することがポイントです。

起床・食事・就寝の時間を整えて生活リズムを安定させる

便秘には、食事の内容だけでなく、不規則な生活や生活環境の変化など複数の要因が関係しています。

まずは起床・食事・就寝の時間が、日によって大きく変わっていないか確認してみましょう。特に朝は、起床してから外出するまでの時間に余裕がないと、便意があってもトイレを後回しにしがちです。少し早く起きるなどして、排便できる時間をつくりましょう。

生活習慣を一度に変える必要はありません。短期間での改善を求めすぎず、無理なく続けられる生活リズムを目指してください。

朝食を抜かず腸が動きやすいタイミングをつくる

朝食を取る習慣は、朝の排便リズムを整えるきっかけになります。

食べ物が胃に入ると、その刺激が大腸に伝わって動きが活発になるので、朝食後は便意を感じやすいタイミングの一つです。

朝から無理にたくさん食べる必要はありません。ご飯やパンなどの主食に汁物を組み合わせたり、果物を加えたりするなど、取り入れやすい朝食から始めましょう。

また、朝食を食べてもすぐに外出してしまうと、トイレに行く時間を確保できません。朝食後に少し余裕を持てる時間をつくってみてください。

睡眠不足やストレスを減らして心身を休ませる

睡眠不足やストレスが続くことも、便通の乱れにつながる場合があります。

毎日の睡眠時間を確保するとともに、就寝・起床時間が大きくずれない生活を意識しましょう。

就寝直前までスマートフォンを見る習慣がある場合は、寝る前の過ごし方を変えてみてください。夜更かしが習慣になっている方は、寝る時間を見直すことから始めます。

ストレスを完全になくすことは難しいため、入浴する、深呼吸する、ゆっくり過ごす時間をつくるなど、自分に合った方法で心身を休ませましょう。

便秘が気になるときの食事のポイント|水分・食物繊維・発酵食品

便秘の改善を目指すなら、毎日の食事内容も確認しましょう。水分・食物繊維・発酵食品などを、普段の食事に無理なく取り入れることがポイントです。

水やお茶をこまめに飲んで便が硬くなるのを防ぐ

水分不足は便秘の一因になることがあります。普段あまり飲み物を取っていない方は、食事以外の時間にも水分を取るようにしましょう。

飲み物は、水や無糖のお茶などが基本です。一度に大量に飲むのではなく、起床後や食事中、外出中など複数回に分けて飲むと続けやすくなります。

朝起きたら水を飲む、食事の際にはお茶を用意するなど、飲むタイミングを決めるのも一つの方法です。

ただし、水分を増やせばすべての便秘が改善するわけではありません。また、水分摂取量について医師から指示を受けている方は、自己判断で増やさず事前に確認してください。

水溶性・不溶性食物繊維を含む食べ物をバランスよく取る

食物繊維には、大きく分けて「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」があり、それぞれ性質が異なります。

どちらか一方だけを意識するのではなく、さまざまな食品からバランスよく取ることがポイントです。

食物繊維特徴食品の例
水溶性食物繊維水に溶ける性質がある大麦、海藻、果物など
不溶性食物繊維水に溶けにくく、便のかさに関係する豆類、野菜、きのこなど

例えば、ご飯に大麦を加える、汁物に野菜やきのこを入れる、副菜に豆類や海藻を取り入れるなど、普段の食事に少し加える方法なら続けやすいでしょう。

特定の食品だけを大量に食べるのではなく、主食や副菜などから少しずつ取り入れてください。

ヨーグルトや納豆などの発酵食品を無理なく取り入れる

ヨーグルトや納豆、みそなどの発酵食品も、普段の食事に取り入れやすい食品です。

▼食事への組み込み例

  • 朝食にヨーグルトを加える
  • 夕食に納豆を一品加える
  • みそ汁を取り入れる など

ただし、発酵食品だけを食べていれば便秘が改善するわけではありません。野菜や豆類、きのこ、海藻など、食物繊維を含む食品と組み合わせながら、食事全体のバランスを整えましょう。

また、発酵食品を食べたあとにおなかの張りや下痢などが生じる場合は、無理に続けないことが大切です。症状が続く場合は、自己判断で対処せず医師に相談してください。

お腹の動きを促す運動と排便習慣|改善しない場合の受診目安

食事を見直すだけでなく、運動不足や排便習慣にも目を向けましょう。生活習慣を見直しても便秘が続く場合は、便秘薬が使われるケースや受診が必要となる場合もあります。

ウォーキングやストレッチで適度に体を動かす

運動不足も便秘に関係することがあるため、普段の活動量を振り返ってみましょう。

運動習慣がない方は、ウォーキングやストレッチなど、特別な道具を使わず始められるものから取り入れます。

まとまった時間を確保するのが難しければ、近い場所まで歩く、階段を使う、休憩時間に少し歩くなど、日常生活のなかで体を動かす方法でも構いません。

大切なのは、激しい運動を一度だけ行うことではなく、自分の体力に合わせて継続することです。短時間でも続けやすい運動から始めてみましょう。

便意を我慢せず排便しやすい時間と姿勢を意識する

便意を我慢する習慣がある方は、トイレに行くタイミングを見直してみましょう。

便意を感じたときは、できるだけ我慢せずトイレに行くことが大切です。朝食後など、便意が起こりやすい時間にトイレへ行く時間を確保すると、排便のリズムをつくりやすくなります。

排便時の姿勢も意識してみてください。洋式トイレでは、足元に足台を置いて膝を少し高くし、上半身を前に傾けると排便しやすい姿勢を取りやすくなります。

便が出ないからといって長時間座り続けたり、強くいきんだりすることは避けましょう。

便秘が長引く場合は便秘薬の使用や受診を検討する

食事や運動、排便習慣を見直しても便秘が改善しない場合は、市販の便秘薬が使用されることもあります。

便秘薬には複数の種類があり、働き方や使用方法も異なります。そのため、どの薬を使用すればよいかわからない場合は、自己判断だけで選ばず医師や薬剤師に相談しましょう。

使用する場合は、添付文書に記載された用法・用量を守ることも重要です。早く便秘を解消したいからといって、必要以上に服用したり、複数の便秘薬を併用することは避けましょう。

また、便秘が長引いている場合や、血便・強い腹痛・嘔吐などを伴う場合は、医療機関を受診しましょう。

便秘対策に関するよくある質問

便秘をすぐに改善する方法はありますか?

誰にでも即効性が期待できる生活習慣や食べ物はありません。早く便を出そうとして食物繊維を一度に大量に取ったり、トイレで無理に強くいきんだりすることは避けましょう。便秘薬を服用する場合も、早く対処したいからといって複数の薬を自己判断で重ねて服用してはいけません。便秘がつらい場合や早めに対処したい場合は、薬剤師や医師に相談してください。

便秘改善のために食物繊維を取りすぎても大丈夫ですか?

食物繊維は便通を整える働きが期待される一方で、多く取れば必ず便秘が改善するものではありません。最初から大量に取ろうとせず、野菜や豆類、大麦、きのこ、海藻、果物などを普段の食事に少しずつ追加しましょう。食物繊維を増やしてから腹部の張りや便通の悪化を感じた場合は、摂取量や食物繊維の種類を調整してください。

便秘薬は毎日服用しても問題ありませんか?

便秘薬には複数の種類があるため、毎日使用できるかどうかは薬の成分や体の状態によって異なります。便秘薬には、腸を刺激するタイプの薬や、酸化マグネシウムなどの非刺激性の薬があります。それぞれ働き方や使用上の注意が異なるため、便秘が改善しない場合や長期間使用する場合は、医師に相談してください。

便秘にお悩みなら、まず生活習慣を見直そう

便秘を改善する方法は一つではありません。まずは起床・食事・就寝の時間を整え、朝食やトイレの時間を確保するなど、毎日の生活習慣を振り返ってみましょう。

食事では、こまめな水分補給を心がけ、食物繊維を含む食品や発酵食品を無理のない範囲で取り入れます。さらに、ウォーキングやストレッチなどで適度に体を動かし、便意を我慢しないことも大切です。

生活習慣を見直しても改善しない場合には、便秘薬が使用されることもあります。薬の選び方や使い方に迷う場合は医師や薬剤師に相談しましょう。

また、便秘が長引く場合や、血便・強い腹痛・嘔吐などを伴う場合は、自己判断で対処を続けず医療機関を受診してください。

監修

しがき先生クリニック 院長 仕垣幸太郎先生

医学博士、日本大腸肛門病学会専門医・指導医、日本肛門機能障害研究会会員
福島県立医科大学大学院卒業。東京山手メディカルセンター(旧社会保険中央総合病院)大腸肛門病センターで肛門疾患、排便障害の経験を積む。以降、10年以上にわたり重症便秘症、便失禁などの排便障害診療にあたっている。総合病院だけではなく、介護・在宅の現場での排便の問題に現場での指導やセミナーという形で取り組んでいる。