浣腸と酸化マグネシウムの併用はどう考える?効きにくい理由・注意点・使い分けを解説

「浣腸を使ったのに便が出にくい…」
「酸化マグネシウムと一緒に使っていいの?」

浣腸と酸化マグネシウムは、どちらも便秘のときに使われやすい薬ですが、働きかける場所も仕組みも異なります。

違いを知らずに自己判断で併用すると、腹痛や下痢につながることもあるため、正しく使い分けることが大切です。

この記事では浣腸のメリットとデメリット、浣腸が効きにくいときの対処法、酸化マグネシウムとの使い分けまで解説します。

つらい便秘で悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

浣腸のメリットとデメリット

浣腸は便秘対策の1つですが、特徴をきちんと知ることが大切です。

浣腸のメリットとデメリット、向いている人と向いていない人をチェックしましょう。

浣腸の主なメリット

浣腸の大きな特徴は、肛門から薬液を直接注入して直腸を刺激するため、数分から十数分ほどで排便につながります。

市販の浣腸薬でよく使われるグリセリンには、硬くなった便をやわらかくして滑りをよくする働きがあります。

そのため、旅行や検査の前などできるだけ早く排便を済ませたい場面でも使われることがあります。

また便秘症が酷くなると、肛門の出口付近に固くなった便が溜まることがあります。これはとても厄介な便秘で、一般的な経口薬剤だけでは、速やかな解消が難しい場合があります。 浣腸をするか場合によっては、病院で便を掻き出して貰う必要があります。 

浣腸の主なデメリット

浣腸は便利な一方で、長期的にくり返し使い続けると浣腸に頼らないと便が出にくくなるおそれがあります。

本来そなわっている自然な排便のリズムが少しずつ弱まってしまうためです。

また、使用時の刺激により、腹痛・気分不快・血圧の変動が起こる場合もあります。浣腸液の成分であるグリセリンは、刺激成分のひとつです。

便秘を繰り返す体質そのものを変える働きはないため、繰り返す便秘には生活習慣の見直しや、便秘のタイプに合った対策が大切です。

浣腸が向いている人と向いていない人

浣腸は便秘の状態や体調によって相性が変わります。

浣腸が向いているのは、一時的な便秘や予定の前にどうしても早めに排便を済ませたい人です。

普段は問題なく排便できているものの、たまたま出にくい日が続いたという場面では役立つことがあります。

一方で、慢性的に便秘を繰り返している人や、毎日のように使いたくなる人には向いていません。

また、高齢の方や妊娠中の方、高血圧や持病がある方は、自己判断で使う前に医師や薬剤師へ相談しましょう。

体への負担や薬の影響を確認したうえで、適切な方法を選ぶことが大切です。

浣腸でも便が出ない・治りにくいときの対処法

浣腸を使ったのに思うように便が出ないと、不安になったり焦ってしまいますよね。

ここでは効きにくい主な原因と、家庭で取り組める対策を見ていきましょう。

浣腸が効きにくい主な原因

浣腸は便のある場所によって届きにくいことがあります。

便が直腸まで下りておらず大腸の奥にとどまっている状態では、浣腸液が便に十分届かず排便につながりにくいことも少なくありません。

便が硬く大きな塊になって詰まっている場合も、浣腸だけでは十分に排出できないことがあります。

血便・便が細い・強い腹痛・体重の減少などがみられる場合は大腸の病気が隠れている可能性もあるので、早めに医療機関に相談しましょう。

食事と生活習慣を見直す

浣腸が効きにくいと感じたら、体の内側から便通を整える食事や生活習慣を改善してみましょう。

食物繊維は便のかさを増やし、腸の動きをサポートする働きがあります。

【食物繊維が豊富な食材】

  • 穀物
  • 豆類
  • 野菜
  • 果物
  • きのこ類
  • 海藻類 など

成人(※18〜64歳を目安)の場合、1日あたり20g前後を目安に摂るようにしてください。なお、お子様の場合は年齢によって目安量が大きく異なります。

水分補給も欠かせません。

水や白湯、麦茶などをこまめに飲み、起床後の一杯で朝の排便リズムが整いやすくなります。

ウォーキングや軽い体操で腸を促してみたり朝食後にトイレへ座る習慣をつけることも、自然な便意につながりやすくなります。

便の状態に合わせて酸化マグネシウム便秘薬も検討する

生活習慣を見直しても便が硬くて出にくいときは、酸化マグネシウムが選ばれることもあります。

酸化マグネシウムには腸内に水分を集める働きがあり、硬くなった便をやわらかくして排出しやすくする作用があります。

便がたまっている場所や硬さなど、便秘の状態によって使い方が異なるため、迷う場合は自己判断での併用は避けて医師・薬剤師に相談しましょう。 

※瀉下薬の併用は、現在の症状が悪化したり、副作用がおこりやすくなります。

浣腸と酸化マグネシウムを使うときの注意点

浣腸も酸化マグネシウムも、使い方を誤ると思わぬ体調変化につながることがあります。

浣腸を使うときの注意点

浣腸はくり返し使うほど効果が安定するものではなく、むしろ何度も使用することで体の負担になることがあります。

連続使用や頻回使用は避け、使用頻度は製品の説明書や医師・薬剤師の指示に従いましょう。

使うときの姿勢も大切ですので、横向きに寝た姿勢など説明書に記載された方法で行ってください。

注入後は肛門をティッシュなどで押さえ、規定の時間を目安に排便しましょう。

すぐに排便してしまうと薬液だけが出てきて、十分な効果につながらないことがあります。

酸化マグネシウムを使うときの注意点

酸化マグネシウムは比較的お腹にやさしいとされる薬ですが、用法・用量を守らないと吐き気や脈の乱れなどの体調変化が起こることがあります。

決められた量と回数を超えないように気をつけましょう。

また、高齢者や腎機能が低下している方は、自己判断で使う前に医師に相談してから服用してください。

服用時はコップ1杯以上の水で飲むようにしましょう。

水分が少ないと便を十分にやわらかくする働きが発揮されにくくなります。

他の薬との飲み合わせにも注意が必要なため、普段から薬を服用している方は事前に医師や薬剤師へ確認することが大切です。

併用について医師に相談すべき理由

酸化マグネシウムは便をやわらかくする薬で、服用してから効果が現れるまでに時間がかかります。

すぐに浣腸を重ねると、効果が出るタイミングが重なって体への負担が大きくなる場合があります。

浣腸と酸化マグネシウムを自己判断で同時に使うと、腹痛や下痢につながることがあるため避けてください。

併用したくなるほど便秘が続く場合は、必ず医師・薬剤師に相談しましょう。

※瀉下薬の併用は、現在の症状が悪化したり、副作用がおこりやすくなります。

浣腸と酸化マグネシウムを組み合わせた賢い便秘解消法

排便の無い日が続き、肛門の出口付近に固くなった便が溜まり、排便が困難になった場合は、浣腸はとても有効な解消方法です。しかしそのあとに排便習慣を付けること無く、再び便秘を繰り返し、浣腸で対処する、という悪循環に陥る人は少なくありません。運動不足や、食事量が減少した高齢者に多いケースです。特に夏場などは、食欲減退と運動不足、胃腸不良などの要因が重なり、便秘を悪化させる方は多くいます。

そうした悪循環を断ち切る上で、浣腸を使って腸をスッキリさせた後、定期的な排便習慣をつけるために、酸化マグネシウムを利用する。

つまり、浣腸して滞留便を出したあと、再び便秘にならないためのコントロールとして、医師の診察や指示のもとで酸化マグネシウムを適切に用いることは、浣腸に依存しがちな便秘を解消する上で有効な対処法のひとつです。

浣腸と酸化マグネシウムなどの他の瀉下薬を、自己判断で同時に(または自己の裁量で時間を空けて)併用することは、副作用のリスクを高めるため避けてください。医療機関において医師の指示のもとで使い分けるケースはありますが、必ず専門医の指導に従いましょう。

浣腸とマグネシウムに関するよくある質問

浣腸と酸化マグネシウムは一緒に使えますか

医師や薬剤師の指導のもとであれば、状態に応じて併用される場合があります。一方で、自己判断での同時使用は腹痛や下痢のリスクがあるため避けましょう。便秘が長引いて両方使いたくなるときほど、自己判断ではなく医療機関で相談してください。※瀉下薬の併用は、現在の症状が悪化したり、副作用がおこりやすくなります。

浣腸と酸化マグネシウムの違いは?どう使い分ける?

浣腸は直腸付近にたまった便に働きかける薬で、できるだけ早く排便したいときに使われることが多いです。一方の酸化マグネシウムは便に水分を集めてやわらかくする働きがあり、便が硬くて出にくいときに選ばれる1つの対策になります。便秘の状態や年齢、体調に合わせて使い方を確認しましょう。

浣腸は毎日使っても大丈夫ですか

毎日のように使い続けると、浣腸に頼らないと便が出にくくなることがあります。用法・用量を守っても改善せず便秘が続く場合は、医療機関へ相談しましょう。

まとめ

浣腸はすぐに排便したいときに使われることのある方法ですが、何度も頻繁に使用することによって体の負担になることがあります。

便が硬くて出にくいときは酸化マグネシウムが使われるケースもありますが、便秘の状態によって適した方法は異なります。

生活習慣の見直しをしながら、どちらの薬も用法・用量を守って使用してください。

自己判断での併用は避けて、迷ったときは医師や薬剤師に相談しましょう。

監修

仕垣幸太郎 先生

大浜第一病院 大腸肛門外科部長
医学博士、日本大腸肛門病学会専門医・指導医、日本肛門機能障害研究会会員 福島県立医科大学大学院卒業。
東京山手メディカルセンター(旧社会保険中央総合病院)大腸肛門病センターで肛門疾患・排便障害の経験を積む。
以降,10年以上にわたり重症便秘症、便失禁などの排便障害診療にあたっている。
総合病院だけではなく、介護・在宅の現場での排便の問題に現場での指導やセミナーという形で取り組んでいる。